沖縄のマブイグミとは?魂を取り戻す伝統的な方法と手順

沖縄には「マブイグミ(魂迎え)」という伝統的な儀式があります。これは、驚いたりショックを受けたりした際に、魂(マブイ)が体から抜け出してしまうことを防ぎ、元の状態に戻すためのものです。この記事では、初心者にもわかりやすく、マブイグミの基本から具体的な方法、注意点、そして自分でできる期間や専門家に頼るべきタイミングについて解説します。

マブイグミとは何か?

沖縄のマブイグミとは?魂を取り戻す伝統的な方法と手順

マブイグミとは、沖縄の伝統的な信仰や精神文化に根ざした概念で、「魂(マブイ)を取り戻す(グミ)」という意味を持ちます。沖縄では、人が驚いたり、強い衝撃を受けたりすると「マブイが落ちる」とされ、それを放置すると体調不良や不運を招くと考えられています。そのため、失ったマブイを呼び戻すために「マブイグミ」という儀式が行われます。

マブイグミの方法は地域や家庭によって異なりますが、一般的には本人の名前を呼びかけながらマブイを拾い集め、それを元の体に戻すように祈る儀式が行われます。場合によっては、身につけていた衣服や身近なものを使ってマブイを呼び戻すこともあります。これは、精神的な安定を取り戻し、心と体のバランスを保つための重要な習慣とされています。

この伝統は、沖縄の自然や祖先を敬う精神と密接に結びついており、現代でも年配の人々を中心に受け継がれています。心のケアの一環としても注目され、沖縄独自のスピリチュアルな文化として、多くの人に愛され続けています。

マブイが落ちるとどうなる?

マブイが落ちてしまうと、以下のような症状が現れることがあります。

  • ぼんやりして集中できない
  • 身体がだるい、無気力になる
  • 食欲がなくなる
  • 喉がかわく
  • 夜、眠れない

このような状態になった場合、マブイグミを行い、抜けたマブイを元に戻す必要があります。

マブイグミを行う場所

マブイグミは、以下の2つの場所で行うことが理想的です。

1. マブイが落ちた場所

驚いたりショックを受けた場所でマブイグミを行うのが最も効果的です。魂が抜けた地点に戻り、そこでマブイグミを行います。

2. 自宅の静かな場所

もし、マブイの落ちた場所に戻るのが難しい場合は、自宅の静かな部屋で行います。大抵は、家の門かトイレの前でマブイグミを行います。

マブイグミのやり方

  1. マブイが落ちた場所でするマブイグミ
  2. 強い衝撃があった場合のマブイグミ
  3. 家の門またはトイレでするマブイグミ

1. マブイが落ちた場所でするマブイグミ

ビックリしたことや驚いたことがあった場合、すぐにその場所でマブイグミを行います。やり方は、簡単です。まず、地面に手をあて掬い上げるようにして胸に押し当てること3度しながら、「〇〇(本人の名前)のマブヤーヤ、ウーティクーヨー」を3回唱えます。これで終了です。簡易的なマブイグミですが、とても効果的な方法です。

2. 強い衝撃があった場合のマブイグミ

ビックリしたことや驚いたことというのは人によって違いますが、例えば、事故を起こしたような強い衝撃の場合のマブイグミには、2つほどポイントがあります。

それは、

  1. 夕方にマブイグミを行うこと
  2. サン(ススキを3本束ねたもの)を使うこと

以上です。

強い衝撃が起きた場合は、すぐにマブイグミをするのではなく、夕方以降に行います。さらに、単なる言葉を唱えるだけではなく、サン(呪物)を用いてマブイグミを行います。やり方は基本同じなのですが、まず、夕方以降に強く衝撃が起きた場所に行きます。その場所で地面にサンをポンと叩き、それを胸に持ってくること3度、その行為をしながら「〇〇(本人の名前)のマブヤーヤ、ウーティクーヨー」を3回唱えます。これで完了です。

つまり、すぐに行う簡易的なマブイグミでは手を使いますが、強い衝撃時のマブイグミはサンを使うということです。それも夕方以降にです。

強い衝撃があった場合のマブイグミは、2つのポイントがありますが、それを守って実践していきましょう。

なお、サンの作り方は「サンの作り方と使い方」で詳しく解説しています。

3. 家の門またはトイレでするマブイグミ

マブイ(魂)を落とした現場に行けない場合は、家の門やトイレでもマブイグミができます。準備するものとやり方は以下の通りです。

準備するもの

家の門またはトイレでするマブイグミには、いくつか道具が必要です。以下のものを用意しましょう。

  • ビンシー(酒、水、米、塩)
  • サン(ススキを3本束ねたもの)
  • 小石3個(現場でマブイを落とした時に拾ったもの、なければ家にあるもので代用する)
  • 一口大ににぎったおにぎり7個
  • 魚汁
  • 線香(12本3本の3組)
  • アルミホイル(線香を置くため)
  • 眠る服(パジャマや寝巻き、部屋着など。できれば前開きのものがいい)
  • ハサミ
  • アルミホイル

用意できたら、家の門またはトイレのいずれかでマブイグミを行います。なお、家の門でもトイレでもやり方は同じです。

家の門またはトイレでマブイグミするやり方

家の門またはトイレでマブイグミする場合は、事前に掃除してきれいにします。家の門の場合は、ほうきなどでゴミを払い、取り除きます。トイレの場合は、塩水を含んだ雑巾で拭き掃除します。掃除が終わったら準備完了です。

まず、マブイグミする時刻は夕方を過ぎてからです。時間になったら、アルミホイルに線香(12本3本の3組)を置きます(この線香には本来、火をつけますが、現代ではつけないことが多いです。ユタでも線香に火をつけずに儀式を行うことをしています。この点は、自由で構いません。ただ、線香に火をつけたなら、それが燃え切らなければいけません。線香が燃え残るのはよくないことなので、自信がない方は線香に火をつけずにマブイグミを行いましょう)。

次に、ビンシー、小石3個、魚汁、おにぎり7個、サンを並べます。

そして、本人の名前、住所、生年月日、干支をハッキリと読み上げ、マブヤーを落とした経緯を話し、マブヤーを戻してくれるよう話します。

それから、小石を持ちながら、サンをつかって体にポンポンと叩きます。叩く場所は、頭、肩、背中、胸です。何十回も叩きます。一通り叩いたら、「〇〇(本人の名前)のマブヤーヤ、ウーティクーヨー」を3回唱えます。

さいごに、魚汁、おにぎり7個を一口ずつ食べて(全部、食べても良い)、マブイグミの儀式は完了です。

が、まだ、少しつづきます。

その日は、用意した寝巻きを着て寝ます。この寝巻きは、3日間、洗濯せずに同じものを着て寝ます。そして、寝る場所にはサンとハサミを置き、これも3日間つづけます。

以上で、家の門またはトイレでマブイグミするやり方は完全に終了です。

3日間はマブイグミを自分でできる

マブイが抜けてから3日以内であれば、上記の方法を用いた方法で自分でマブイグミを行いうことが可能です。マブイグミを行った日から3日間は、できるだけ安静にし、心を落ち着けることが大切です。

また、再びマブイが抜けないように、日常の過ごし方に気をつけます。

  • 無理をせず、十分な睡眠をとる
  • 穏やかな気持ちを保つ
  • 強い刺激を避ける(ホラー映画など)

3日以上経過したらユタへ相談

もし、マブイを落としてから3日以上経ったり、自分でマブイグミをやっても効果がないようなら、沖縄の霊能者である「ユタ」に相談しましょう。

ユタに相談する時の判断基準は、

  • 自分でマブイグミをしても良くならない
  • 体調が悪化していく
  • 不運が続くと感じる
  • 精神的に不安定な状態が続く

などです。

ユタは、マブイの状態を見極め、より深い儀式を行い、しっかりと魂を戻してくれます。なお、ユタを選ぶときの方法は「ユタの選び方」で書いていますので参考にしてください。

まとめ

沖縄の伝統的な儀式「マブイグミ」は、ショックや驚きによって抜けた魂を元に戻すための大切な方法です。自分で行う際は、静かな環境を整え、丁寧に儀式を進めることが大切です。

  • マブイグミは魂を戻す沖縄の伝統儀式(おまじない)
  • 3日以内であれば自分で行うことが可能
  • 3日以上の場合はユタに相談
  • 日常生活でマブイが抜けないように注意する

沖縄の先人たちが大切にしてきたこの伝統儀式(おまじない)を知り、心と体のバランスを整えていきましょう。


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