沖縄のおまじないに使う「サン」の作り方を解説

沖縄のおまじないに使う「サン」とは?

沖縄には、古くから伝わるさまざまな風習やおまじないがあります。その中でも、「サン」と呼ばれる植物は、魔除けや厄除けのために使われる伝統的なものです。沖縄の人々の暮らしに根付いたこの習慣は、現代でも受け継がれています。本記事では、サンとは何か、その使い方、そして作り方について詳しく解説します。

「サン」とは何か?

「サン」とは何か?
「サン」または「サングヮー」に使われる植物のススキ

「サン」または「サングヮー」とも呼ばれるこの植物(ススキ[Miscanthus sinensis])は、魔除けや厄除けのために用いられるものです。その葉や茎を使った飾りも存在し、お守りとしても使用されます。沖縄の家庭では、昔から災いを遠ざけるためにサンを用い、身近な場所に飾る風習がありました。

特に、弁当や法事で使われる重箱の上に置くことで、悪霊(マジムン)が食べ物を腐らせるのを防ぐために使用されてきました。また、子供たちをマジムンから守るため、お守りとして持たせたり、かばんに付けたりしました。他には、夜泣きがひどい時には枕の下に入れることもあります。

さらに、春のシーミー(清明祭)や夏の旧盆の時期には、大きなサンを玄関や家の敷地、井戸に置いたり、農具や庭木などに結んで魔除けを行います。

サンの由来

サンが沖縄のおまじないで使われるようになった由来は、古代の自然崇拝と深く関係しています。沖縄の人々は、自然の中に神や霊が宿ると信じており、特にススキは魔除けの力を持つと考えられてきました。

沖縄の神様は静かなところを好むと言います。サンであるススキの葉には、鋭い鉤状になっているため、人もマジムンも近づきません。なので、神様はそこに潜んでいるという昔からの教えがあります。

また、ススキの葉の鋭い鉤状は刃物としても置き換えられるので、マジムンも恐れをなしているわけです。これが、魔除の由縁とも言われています。

こういう考えから、次第に家や持ち物に付ける風習へと広がっていきました。このように、サンは沖縄の自然信仰の考え方と結びつきながら、魔除けのおまじないとして定着していったのです。

サン(ススキ)の採取方法

サン(ススキ)の採取方法

魔除けにも使われ、また神様が宿っているサンには採取のやり方があります。

まず、サンの採取(刈り取る、または切る)前には一言、断りや祈りを入れてから行います。断りや祈りの入れ方は地域ごとに様々で、

「サングヮーを作るために必要です。3本ちょうだいねー!」

「このススキを数本ください。切ったところから青々と生えることを願います。」

など、言い方に決まりはありません。

沖縄には自然崇拝が根付いているので、植物であるススキを切るのも断りや祈りを込めてから行います。沖縄では、どんなものにも命が宿っていると考えているので、このような習慣ができているのです。

また、ススキを切る時も無駄に切りません。後からの人のことも考えて、必要な分だけ採取するようにします。

サンを作る前にすること

サンを採取したら、作る前にするべきことがあります。それは「お清め」です。サンは、採取したらすぐ作るのではなく、一度お清めしなければいけません。

サンの清め方

サンの清め方は以下の通りです。

  1. 軽く水洗いをする
  2. 沖縄の塩を振りかける
  3. 塩を落とすように軽く濯ぐ
  4. 自然乾燥させて使う
サンの清め方:軽く水洗いをして汚れを落とす
1. 軽く水洗いをして汚れを落とす
サンの清め方:沖縄の塩を振りかけて清める
2. 沖縄の塩を振りかけて清める
サンの清め方:塩を落とすように軽く濯ぐ
3. 塩を落とすように軽く濯ぐ
サンの清め方:水を切り、自然乾燥して使う
4. 水を切り、自然乾燥して使う

サンの作り方

サンの作り方は、使用する植物や地域によって異なりますが、一般的な作り方を紹介します。

材料

  • ススキ
  • 紐や縄(植物の繊維を使うこともあります)

作り方

① お守り、食べ物を守るサンの作り方

  1. ススキの葉を一枚とり、先端に輪っかを作る
  2. さらに先端に輪っかを作り、「1」の輪っかに通す
  3. 通した輪っかと根っこ部分を引っ張り結び目を作る
  4. 余分な部分はハサミできる
お守り、食べ物を守るサンの作り方:ススキの葉を一枚とり、先端に輪っかを作る
1. ススキの葉を一枚とり、先端に輪っかを作る
お守り、食べ物を守るサンの作り方:さらに先端に輪っかを作り、「1」の輪っかに通す
2. さらに先端に輪っかを作り、先に作った輪っかの中に通す。通した輪っかと根っこ部分を引っ張り結び目を作る
お守り、食べ物を守るサンの作り方:余分な部分はハサミで切る
3. 余分な部分はハサミで切る

このサンは、お守りとして持ったり、弁当や重箱の上におくものです。

② 屋敷の魔除け、儀式に使うサンの作り方

  1. ススキの上の葉を3枚残し、残りは手で取り除く
  2. 葉を3本束ねながら、先端に輪っかを作る
  3. さらに先端に輪っかを作り、「2」の輪っかに通す
  4. 通した輪っかと根っこ部分を引っ張り結び目を作る
  5. これを5本作る(アパートなら3本)
  6. 屋敷の四隅に1本ずつ置く(土がある場合は差す)
  7. 残り1本は玄関に置く(花瓶に入れ流、または吊るす)
屋敷の魔除け、儀式に使うサンの作り方:ススキの上の葉を3枚残し、残りは手で取り除く
ススキの上の葉を3枚残し、残りは手で取り除く
屋敷の魔除け、儀式に使うサンの作り方:葉を3本束ねながら先端に輪っかを作り、さらに先端の輪っかに通す
葉を3本束ねながら先端に輪っかを作り、さらに先端の輪っかに通す
屋敷の魔除け、儀式に使うサンの作り方:通した輪っかと根っこ部分を引っ張り結び目を作る(アパートなら3本、一戸建てなら5本作る)
通した輪っかと根っこ部分を引っ張り結び目を作る(アパートなら3本、一戸建てなら5本作る)
屋敷の四隅に1本ずつ置く(土がある場合は差す、アパートならベランダに2本)
屋敷の四隅に1本ずつ置く(土がある場合は差す、アパートならベランダに2本)。土がない場合は紐を使ってくくる。
残り1本は玄関に置く(花瓶に入れ流、または吊るす)
残り1本は玄関に置く(花瓶に入れ流、または吊るす)

以上が、サンの作る方です。作り方はシンプルですが、そこに込められた意味は非常に深く、沖縄の伝統や信仰と密接に結びついています。

まとめ

沖縄のおまじない「サン」は、古くから続く魔除けや厄除けのための風習です。食べ物を守るため、家を守るため、そして子供を守るために、さまざまな場面で使用されてきました。サンはススキなどの植物を用いて簡単に作ることができ、その形や使い方には地域ごとの違いも見られます。

  • 食べ物を守る:弁当や重箱の上にサンをのせ、マジムンから食べ物を守る。
  • 家の魔除け:玄関や家の敷地、庭木に吊るして悪霊を遠ざける。
  • 子供の守護:子供のかばんに付けたり、枕の下に置いてマジムンから守る。
  • 祭りや儀式での使用:清明祭や旧盆の際に、家や井戸、農具に結んで魔除けを行う。また、マブイグミでも使う。

サンは、ただ飾るだけでなく、沖縄の人々の信仰や願いが込められた大切な存在です。

現代においても、沖縄の文化として受け継がれているサン。伝統を尊重しつつ、その意味や作り方を学ぶことで、より深く沖縄の風習を理解できるでしょう。


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